不動産会社を継いで、ホームページを作り直そうと制作会社に見積もりを取ったら300万円と言われました。これ、普通なんですか?
うちは別の会社で50万円と言われました。同じ「不動産のホームページ」なのに、なんでこんなに差があるんでしょう……。
どちらも普通です。差が出る理由はほぼ1つで、「物件検索」が入っているかどうか。そして、その見積もりの他に「自分で作る」という選択肢があることも、制作会社はあまり言いません。今日はそこを含めて、費用の全体像を出します。
こんにちは、webディレクター兼個人ブロガー(兼プログラミング講師)のきつねコードです。
私は普段、ホームページ制作の見積もりを出す側にいます。正直言うと不動産の実務には詳しくありませんが、「このサイトを作るのにいくらかかるか」を積み上げる作業は本業です。今回はその立場から、不動産ホームページの制作費用を整理します。
先に言っておくと、この記事は制作会社のブログ記事とは違う結論になります。案件を請け負う制作会社は立場上、「自分でも作れますよ」とは書けません。私は個人でやってるので、そこを含めて整理して書いてみます。
不動産ホームページの制作費用|相場を3段階で分解【早見表】
冒頭の「50万円」と「300万円」、どちらも正しい見積もりです。作るものが違うだけで。
不動産ホームページの制作費用は、大きく3段階に分かれます。
| 段階 | 作るもの | 制作会社に外注した場合の相場 |
|---|---|---|
| ①名刺代わり | 会社案内・スタッフ紹介・問い合わせフォーム | 20〜50万円 |
| ②物件検索つき | ①+物件を登録して、条件で絞り込める | 100万円〜 |
| ③本格ポータル | ②+大量の物件データ、会員機能、業務システム連携 | 300万円〜(オーダーメイドなら数百万〜) |
ひとつずつ、中身を書きます。
①名刺代わりのサイト:20〜50万円
会社の概要、スタッフの顔、営業時間、問い合わせフォーム。「うちはちゃんとした会社です」を伝えるためのサイトです。物件情報は載せない、あるいは数件を手で貼るだけ。
これは一般的な企業サイトと構造が同じなので、相場もそれと変わりません。地域の制作会社なら20〜50万円台が普通です。テンプレートを使えばもっと下がることもあります。
②物件検索つき:100万円〜
ここで金額が一段跳ねます。
「エリアで絞る」「賃料で絞る」「駅からの距離で絞る」などお客さんが自分で物件を探せるサイトです。SUUMOなどで慣れているあの操作ですね。これを入れると、不動産に強い制作会社でも100万円〜が相場になります。理由は次の章で書きますが、「ページを作る」から「データベースを作る」に仕事が変わるからです。
③本格ポータル:300万円〜
数百〜数千件の物件を扱う、会員登録やお気に入り機能がある、業務システムと自動連携する。いわゆる「ポータルサイト」です。
相場は300万円〜。ゼロから設計するオーダーメイドになると数百万円は普通で、大手が運営しているような規模だと1,000万円を超えることもあります。期間も最短で3ヶ月、たいていはもっとかかります。
冒頭の「300万円」の見積もりは、たぶんこの③か、②を丁寧に作る前提だったんだと思います。
忘れがちなもう一つの費用:ポータル掲載料
制作費の話をするときに、考慮するのに抜け落ちるものがあります。それが、すでに今払っているお金です。
SUUMO・LIFULL HOME'S・アットホームといった大手ポータルへの掲載料のことです。会社の規模と掲載プランでかなり幅がありますが、年間で数十万〜数百万円になっているケースは珍しくないと聞きます。しかも、これは毎年出ていく固定費ですよね。
例えば「自社サイトに100万円は高い」と感じている会社が、ポータルに掲載料年間100万円払っているというケース。これも、けっこうあると思います。自社サイトの費用は、制作費単体ではなく、この掲載料と並べて考えた方がいいと思っています。作れば直ちに掲載料がゼロになる、という話ではありませんが、比較の土台がそこにあるということです。
なぜ「物件検索」が入ると費用が跳ねるのか
ここは制作側の内側の話なので気にならない方は飛ばして構いませんが、少し丁寧に書きます。「なんでそんなに高いの?」の答えです。
「ページ」を作る仕事から、「データベース」を作る仕事になる
名刺代わりのサイト・ホームページは、ページを一枚ずつ作れば完成します。会社概要ページ、スタッフページ、問い合わせページ。ページの数だけ作れば終わり。デザインをどこまでこだわるかはさておき、技術的にはそう難しくありません。
物件検索つきのサイトは、そうはいきません。物件1件ごとに「賃料」「間取り」「駅からの距離」「築年数」「ペット可否」……といった項目を持ったデータを登録して、それを条件で絞り込んで一覧に出す仕組みが要ります。物件が100件だろうが1,000件だろうが同じ画面で動くように、です。
データを格納し、データを出力する仕組みですね。見せる部分・表側のページを作る仕事はもちろん必要ですが、見えない部分・裏側のデータベースを作る仕事も加わります。
これはページ制作ではなく、システム開発です。単にデザインを作ってコーディングをすれば良い、ページだけ作ればOKというのではなく、裏側のデータベースを設計する工程も、作る工程も、テストする工程も変わってきます。複雑性が増します。だから金額の桁が変わります。「ホームページ」という同じ言葉で呼ばれることもありますが、①と②は全く別の商品だと思ってください。
見積もりで金額が変わる3つの要因
そして同じ「物件検索つき」でも、見積もりに差が出ます。見積もりを作る側から見て、金額を動かしているのは例えばこの3つです。
- 検索条件の細かさ:エリアと賃料だけなのか、沿線・駅・こだわり条件を掛け合わせるのか。条件が1つ増えるごとに、機能が1つ増えるごとに設計もテストも増えます
- 業務システムとの連携:今使っている物件管理ソフトからデータを自動で流し込むのか、手で登録するのか。自動連携は費用が一段上がります
- デザインをゼロから作るか:オリジナルデザインか、既存のテンプレートを土台にするか。ここで数十万円変わることも普通です
なので、複数の会社から見積もりを取るときは、この3つを揃えたうえで比べてください。30万円と300万円の見積もりを並べて「高い・安い」を言っても意味がなくて、たいてい作るものが違います。
「うちの見積もり、どこにお金がかかってるんですか?」と聞けば、まともな制作会社なら分解して答えてくれます。答えられない会社は、それだけで判断材料になります。
作り方は3ルート。費用・自由度・保守で比較する
ここからが、制作会社のブログ記事などにはあまり書かれていない話かもしれません。
「物件検索つきの不動産ホームページ」を手に入れる方法は、外注だけではありません。3つのルートがあります。
ルートA:制作会社にフル外注する
ここまで書いてきた、王道のルート。100万円〜、300万円〜。自分たちは何もしなくていいのが最大の利点です。要望を伝えれば、設計から公開まで任せられる。
弱点は費用と、公開後も制作会社に依存すること。例えばちょっとした修正のたびに都度見積もりが発生します。柔軟性・自由度が高いことはメリットですが、こちら側としてはちょっとした軽微な変更だと思っていても、それが「機能の追加」や「データベースの設計変更」を伴う修正だったりすると思わぬ金額になることもあります。修正がなくとも、保守費用が月額で毎月かかることも多いです。
ルートB:不動産特化のWordPressテーマを買って、自分たちで作る
これが、この記事で一番伝えたいルートです。
WordPressには「テーマ」という着せ替えの仕組みがあって、その中に不動産専用に作られたテーマがあります。物件の登録画面、検索機能、物件詳細ページのレイアウトが最初から全部まるごと入っている。つまり、さきほど「システム開発になるから高い」と書いた部分が、すでに作られた状態で売られているわけです。
価格は7万円台〜約20万円。外注の②③と比べると、桁が1つ下がります。
弱点は、自分たちで手を動かす必要があること。wordpressサイトを作って、不動産専用wordpressテーマを入れて、写真と文章を差し替えて、物件を登録する。1つ1つ進めれば初めてでも可能でそう難しい作業ではありませんが、それなりに時間はかかります。慣れる必要はあります。あと、wordpressテーマが用意していない機能は基本的に諦める必要があります。そのテーマに付いている機能の範囲でサイト作りをするという形ですね。(制作者ならば改修も可能だが)
ルートC:汎用テーマ+不動産プラグインで組む
普通の一般的なWordPressテーマに、物件検索の機能だけを「プラグイン」で足す方法です。テーマ選びの自由度が高く、プラグイン自体は無料のものもあります。
ただ正直に言うと、これは制作者向けのルートです。テーマとプラグインの相性を調整したり、見た目を合わせたり、ある程度WordPressに慣れていないとしんどい。後述しますが代表格の「不動産プラグイン」は、本体・テーマ・追加プラグインを自分で選んで組み合わせる方式です
3ルートを並べると、こうなります。
| A:外注 | B:特化テーマで自作 | C:汎用テーマ+プラグインで自作 | |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 100万〜、300万円〜 | 7万円〜約20万円 | 0〜数万円+テーマ代 |
| 自分の作業 | ほぼなし | 設定・写真・物件登録 | 設定・調整・物件登録 |
| デザインの自由度 | 高い | テーマの範囲内 | テーマ次第 |
| 公開後の修正 | 制作会社に依頼(費用発生) | 自分で | 自分で |
| 向いている会社 | 予算があり、手を動かす人がいない | 予算を抑えたく、担当者を1人置ける (もしくは制作者) | WordPressに慣れた人がいる (制作者向け) |
中小の不動産会社なら、私はBを勧めます。理由は単純で、長期的にみるとかなり安くなりAとの差額で他のことができるから。自分たちでサイト運用ができると、いちいち外注先に連絡するコストが減り結果的に柔軟になるから。ただしBには「隠れコスト」があるので、そこも後半で正直に書きます。
自作ルートの中身:不動産テーマ3つを費用と連携で比較
それでは、「自作」する場合の中身を掘り下げていきます。
ルートBで使えるテーマは、国産で実質3つです。それぞれ費用の構造が違うので、初年度だけでなく5年で見てみます。
TCD GRAVITY|198,000円の買い切り。月額なし

本命はTCD GRAVITY(グラビティ)。国産テーマブランドTCDが2025年に出した、不動産ポータル専用のテーマです。198,000円(税込)の買い切りで、月額はかかりません。
費用の観点で見たときの特徴を3つだけ。
- 買い切りである:一度払えば終わり。5年使っても198,000円のまま。ここは他2つとの一番の違いです
- 都道府県・市区町村・沿線・駅のデータを自分で入力しなくていい:管理画面から総務省の最新データに更新できる仕組みが入っています。ここを手で作るとかなりの工数なので、地味に大きい
- 営業や事務のスタッフでも物件を登録できる設計:公式が「レインズで物件掲載をするかのように」と表現している通り、IT専門知識前提ではありません
ひとつ注意点も。GRAVITYは業務ソフトとの自動連携を前提にした作りではありません。物件は管理画面から1件ずつ登録するのが基本で、レインズやSUUMO等からの物件情報の一括アップロードには対応していないと公式FAQが明言しています(そうした機能を付けるとサイトがGoogleにスパム認定されるリスクが高い、というのが公式の説明です)。一括で入れられるのは都道府県・沿線データや物件種別の項目のセットです。また、レインズにある一部の項目(接道接面・報酬形態など)は専用の入力欄がありません(フリースペースに書くことはできます)。公式は「厳格なレインズと最低限の情報が掲載されているSUUMOの中間くらい」と説明しています。もし連携を最優先にするなら、次の簡単不動産proの方が向いています。
ただこの金額で、これだけのフル機能を備えた不動産ポータルサイトが手に入るというのは驚きです。デザイン的にもこの業界によくありがちな「古っぽさ」もなく綺麗で完成度が非常に高い。コスパの良さを求めている方には大本命のテーマと言っても良いでしょう。
機能の詳細やデモの見どころは、別記事で厚く書いているのでそちらをどうぞ。この記事では費用の話に絞ります。
\ 外注100万円〜の中身が、買い切り198,000円 /
簡単不動産pro|通常版は月額11,000円がかかる
2つ目は簡単不動産pro。こちらは2つの版があり、費用の構造がまったく違います。ここは丁寧に書きます。
| 通常版 | テーマ版 | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 110,000円 | 77,000円 |
| 月額 | 11,000円 | なし |
| 納品 | 開発元が公開まで担当(目安5日) | 自分でマニュアルを見て構築 |
| 業務ソフト連携 | あり(RIMS・いえらぶCLOUD・不動3之助 など) | なし |
| 学区・周辺情報の自動表示 | あり | なし |
注目してほしいのは通常版の月額11,000円です。年間132,000円。初年度で242,000円、5年で77万円になります。金額だけ見るとGRAVITYより高くなる計算です。
ただ、これは「高い」という話ではなくて、中身が違うんですよね。通常版は公開まで開発元がやってくれて、業務ソフトとの連携も学区の自動表示もついてくる。テーマというより、半分サービスです。すでに不動3之助やRIMSなどで物件を管理していて、それを自動で流し込みたい会社には、この月額は妥当な選択肢になります。
ひとつ注意を。業務ソフトとの連動には、月額11,000円とは別に費用がかかる場合があります。公式FAQには、たとえばリムズ連動は月額5,000円が別途かかるとあります(連動の初期費用も、無料になるのはキャンペーン期間のみ)。連動前提で検討するなら、使っているソフト名を伝えて、連動費込みの総額で見積もりをもらってください。
逆に、業務ソフトを使っていない・もしくは自分で登録する、という会社ならテーマ版(77,000円・月額なし)。有料テーマ2つの中では、一番安く始められます。なおテーマ版は、地図表示に使うGoogleのAPIキーを自分で取得する必要があります。
もうひとつ、費用に直結する仕様の違いを公式FAQから。簡単不動産proは売買物件と賃貸物件を1つのホームページに掲載できません。両方を扱っている会社は、2サイト分の費用で考える必要があります(GRAVITYは1サイトで賃貸も売買も扱えます)。また、物件の登録数に上限はないものの、サイトが快適に表示されるのは最大1,500物件ほどとされています。中小の自社物件なら十分な数字ですが、③のような規模を狙う土台ではありません。
不動産プラグイン|本体無料。ただし「組み立て式」
3つ目はルートCの代表格、不動産プラグイン。テーマではなくプラグインで、本体に無料版があります。レインズ連携や不動3之助連動などの追加プラグインも揃っていて、機能面ではかなり幅があります。
まず、開発は活発です。2026年9月時点の推奨環境はWordPress 6.7以降・PHP 8.0〜8.4。WordPressのメジャーアップデートごとに対応版が出る運用で、公式サイトには本体・追加プラグインごとの互換表も用意されています。累計3万ダウンロード超・稼働3,000サイト超の定番ツールの1つなので、「無料だから怪しい」という類の心配は要りません。
それでも「制作者向け」と言うのは、これが組み立て式だからです。無料なのは本体だけ。見た目はテーマ次第で(公式デモはWordPressの標準テーマが中心、別売りの専用テーマもあります)、機能は条件検索・会員・マップ・業務ソフト連携など約30種類の追加プラグインから、必要なものを選んで足していく方式です。どの部品が要るかの設計、テーマとの見た目の調整、WordPressが上がるたびに本体と入れた部品を互換表と突き合わせて更新する作業など。GRAVITYや簡単不動産proなら製品側がまとめて面倒を見てくれる部分が、全部自分の仕事になります。わかる人なら良いですが、全く知らないと勉強することが増えます。
規模の目安も公式の導入案内に書いてあります。一般的なレンタルサーバーでは物件1,000件程度で表示が遅くなってくるとされ、物件の入れ替えが多い場合はデータベースの保守(専門知識が必要)が要ることもある。複数県での運用やマルチユーザーといった用途はPro版(330,000円〜・税込)の領域です。入れて動かすだけなら簡単ですが、事業のサイトとして完成させ、維持し続けるところが制作の仕事です。それができる人、あるいは制作会社に組んでもらえる会社にとっては、自由度が高く費用も一番軽いルートです。
3つの総額を、初年度と5年間で並べる
テーマ代だけでなく、サーバー代とドメイン代も足して並べます。サーバーは月1,000〜2,000円程度、ドメインは年1,000〜2,000円程度が相場なので、ここでは合わせて年20,000円で計算しました。
(※サーバーとはサイトを置いておく場所のこと。ドメインはURLのこと。ちなみにサーバードメイン代は、ルート①の外注を選ぶ際でもかかります。)
| 初年度 | 5年合計 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| GRAVITY | 約218,000円 | 約298,000円 | 買い切り198,000円+サーバー・ドメイン |
| 簡単不動産pro 通常版 | 約262,000円 | 約870,000円 | 110,000円+月額11,000円+サーバー・ドメイン(連動オプション費は別) |
| 簡単不動産pro テーマ版 | 約97,000円 | 約177,000円 | 77,000円+サーバー・ドメイン |
| 不動産プラグイン(無料版) | 約20,000円〜 | 約100,000円〜 | サーバー・ドメインのみ。追加プラグインやテーマ代は別 |
※金額は2026年8月時点の各公式サイトの表記から計算しています。サーバー・ドメインは契約プランで変わるので概算です。
この表で見てほしいのは、5年で見ると順位が入れ替わること。有料テーマの2つでは、初年度は簡単不動産proテーマ版が安いですが、業務連携も学区表示もなしのプランです。通常版は初年度こそGRAVITYに近いのに、5年では3倍近くになる。「月額」は小さく見えて、事業のサイトでは一番効いてくる数字です。
なお、どのルートでもサーバーは必要です。私はエックスサーバーを長く使っていて、申し込み時に「WordPressクイックスタート」を選べばWordPressの設置まで一気に終わります。法人でも個人でも使えますし、初心者でも1時間程度でできます。
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※「WordPressクイックスタートを利用」に✅を入れて進めてください
※個人も法人も『Xserver レンタルサーバー』を運用できます。
自作で見落とす「隠れコスト」4つ
ここまで読むと「じゃあ自作でいいじゃん」となると思いますし、私もそう思っています。ただ、金額の表に出てこないコストがあります。これを知らずに始めると、途中で止まります。
制作の現場で「自分たちで作ります」と言った会社が詰まるのは、だいたいこの4つです。
隠れコスト1:物件データの入力・更新は「誰が」やるのか
これが一番大きい。
WordPressサイトを立ち上げて、テーマを入れた瞬間は、物件がゼロです。そこに1件ずつ、賃料・間取り・写真・設備・コメントを入れていく。100件あれば100回。そして物件は動きます。成約したら消す、新しく出たら足す、賃料が変わったら直す。サイトの制作費より、この更新作業の人件費の方が長期では大きくなります。
だから自作ルートで一番先に決めるのは、テーマではなく「誰が担当するか」です。営業の片手間では止まります。社長さんでも事務スタッフでも構いませんが、最低1人はっきり決めてください。
GRAVITYや簡単不動産proが「営業・事務でも登録できる」「迷わず使える」設計になっているのは、まさにここのためです。
隠れコスト2:業務ソフトとの連携(レインズ・不動3之助など)
すでに物件管理ソフトを使っている会社は、同じ物件を2回入力することになるのかを確認してください。
業務ソフトに入れて、さらにホームページにも入れる。これは確実に止まります。自動で流し込めるかどうかで、隠れコスト1の大きさが倍違います。
ここは3つのテーマで差が出るところで、さきほど書いたとおり簡単不動産pro通常版は連携あり、GRAVITYは管理画面からの物件登録が基本、不動産プラグインは連携用の追加プラグイン(レインズ連携・不動3之助連動など)を買い足す方式です。
例えば月額11,000円(簡単不動産pro通常版)をどう見るかは、この「2回入力するかどうか」で決まると思っています。連携がどうしても要るなら、連動オプションの費用も含めて払う価値がある。別に連携が要らないなら、払わなくていい。
(なお、レインズだけは別枠です。売買の専任・専属専任媒介では、契約締結日の翌日から7営業日(専属専任は5営業日)以内のレインズ登録が宅建業法上の義務なので、自社サイトができてもレインズをやめるという選択肢はありません。自社サイトが将来置き換え得るのは、ポータルへの広告出稿と、そのための業務ソフトの方です。)
隠れコスト3:写真
不動産サイトの印象は、テーマではなく写真で決まります。これは断言していい。
どんなに良いテーマを入れても、暗い・傾いている・解像度が低い写真を並べれば、一気に「小さい不動産屋のサイト」に見えます。逆に写真さえ揃っていれば、テーマの差はほとんど気になりません。
スマホでも撮れますが、撮り方を揃える(時間帯、水平、明るさ)だけで見違えます。主要な物件だけカメラマンに頼む、という手もあります。ここにかける数万円は、テーマ代より効くことが多いです。
隠れコスト4:作っただけでは、人は来ない
最後に、これも正直に。
自社サイトを作っても、SUUMOやHOME'Sの検索結果に勝てるわけではありません。「〇〇市 賃貸」で大手を抜くのは、現実的には無理です。ここを期待して作ると、公開後にがっかりします。もっとニッチで何かに特化した物件・商圏・ターゲットなら可能性はありますが、競合の多いガチンコ勝負だと負けます。
自社サイトが効くのは別の場所で、「この会社、ちゃんとしてるな」と思ってもらう場所、そして地域の細かい情報で拾える検索です。ポータルで見つけた人が会社名で検索したときに、きちんとしたサイトがあるかどうか。ここで問い合わせ率が変わります。
つまり自社サイトは、ポータルの代わりではなく、ポータルの補完として始めるのが現実的です。掲載料を全部止めて自社サイトだけにする、というのは最初にやることではありません。
4つとも、テーマを買う前に決めておけば全部避けられます。「担当者」「連携の有無(更新体制)」「写真」「期待値」。この4つが決まっていれば、自作はちゃんと回ります。
結局どのルートを選ぶべきか【判断表】
ここまでを1枚にまとめます。自社の状況に近い行を見てください。
| こういう会社は | おすすめのルート | 目安の費用 |
|---|---|---|
| 物件は載せない。会社案内があればいい | 汎用の企業向けテーマで自作、または外注① | 数万円 / 20〜50万円 |
| 物件検索を入れたい。担当者を1人置ける。業務ソフト連携は不要 | GRAVITYで自作 | 約20万円台(初年度) |
| 物件検索を入れたい。今使っている業務ソフトと連携したい | 簡単不動産pro 通常版 | 初年度約26万円(月額込み)+連動費 |
| とにかく最小コストで物件検索を試したい | 簡単不動産pro テーマ版 | 約10万円(初年度) |
| WordPressに慣れた人がいて、費用を極限まで抑えたい | 不動産プラグイン(無料版)で自作 | 約2万円〜(初年度) |
| 数千件規模、会員機能、独自の要件が多い | 外注③(オーダーメイド) | 300万円〜 |
| 手を動かす人がいない。予算はある | 外注② | 100万円〜 |
ちなみに一番最初の「物件は載せない」の行だけ補足すると、その場合は不動産専用wordpressテーマは要りません。企業向けの汎用wordpressテーマで十分で、そちらは別記事にまとめてあります。
→ 企業サイト向けWordPressテーマおすすめ|無料・有料を目的別に比較
よくある質問
制作費に補助金は使えますか?
使える場合があります。ただし、制度を選びます。 現実的なのは小規模事業者持続化補助金で、ホームページ制作費は「ウェブサイト関連費」として対象になります。ただし、ウェブサイト関連費だけでは申請できず(チラシなど他の経費との組み合わせが必要)、補助額にも枠があります(直近の公募では交付申請額の1/4・上限50万円まで)。一方、IT導入補助金(2026年度は「デジタル化・AI導入補助金」として公募)は、ホームページ制作そのものは対象外です。物件管理ソフトなどITツールの導入には使える可能性があります。制度は公募回ごとに要件が変わるので、検討するなら最新の公募要領を確認するか、地元の商工会・商工会議所に相談してください。なお、補助金は基本的に「後払い」なので、一度は全額を自分で払う前提で資金を見ておく必要があります。
制作会社に頼みつつ、GRAVITYを使ってもらうのはアリですか?
アリです。むしろ現実的な折衷案だと思います。 ゼロから開発してもらうより制作費が下がりますし、公開後の物件更新は自分たちでできる形になります。TCD公式サイトには「特別ライセンス取得者様一覧」のページがあり、テーマごとにライセンスを持つ制作会社を探せます。注意点は2つ。制作会社がTCDテーマで制作代行をするには「特別ライセンス」(1テーマ33,000円税込・3年間有効)が必要で、規約上、テーマ販売価格の3倍未満の金額で請け負うことは禁止されています。つまりGRAVITYなら制作費は59万4,000円が下限。それでも外注②の100万円〜よりは下がる計算です。もう1つは、その制作会社がGRAVITYを触った経験があるかどうか。初めてのテーマだと設定に時間がかかり、それが費用に乗ります。
パソコンが得意な社員がいません。それでも自作できますか?
「作る」はできます。問題は「続ける」の方です。 GRAVITYのような専用テーマは、マニュアルに沿って進めれば、プログラミングの知識がなくても公開までたどり着けます。物件の登録も、普段の事務作業の延長です。ただ、隠れコスト1で書いたとおり、本番は公開後の更新です。「パソコンが得意かどうか」より「毎週この作業をやると決めた人がいるかどうか」が分かれ目。1人決まるなら自作でいけます、最初は時間がかかりますが慣れの問題です。しかし誰も手を挙げないなら、簡単不動産pro通常版のように納品まで代行してくれるものか、外注を選ぶ方が結果的に安く済みます。
自社サイトができたら、ポータルの掲載はやめてもいいですか?
いきなりやめるのは危険です。 自社サイトを公開しても、検索結果で大手ポータルに勝てるわけではありません。最初は併用して、自社サイト経由の問い合わせがどれくらい来るかを数ヶ月見てください。そのうえで、掲載プランを一段落とす、掲載する物件を絞る、といった調整をしていくのが現実的な順番です。自社サイトは「ポータルをやめるため」ではなく「ポータルで見つけた人に、ちゃんとした会社だと思ってもらうため」にまずは作る。その位置づけで始めると、期待とのズレが起きません。
制作会社の見積もりが妥当かどうか、どう判断すればいいですか?
金額ではなく「内訳」を見てください。 見積もりを出す側から言うと、まともな見積もりには「物件検索機能」「デザイン」「業務システム連携」「公開後の保守」がそれぞれ分かれて書いてあります。全部まとめて「ホームページ制作費 300万円」としか書いていない場合は、分解して出し直してもらってください。それと、この記事の3ルートを知ったうえで「GRAVITYのような専用テーマを使う前提だといくらになりますか」と聞いてみるのも手です。答え方で、その会社の誠実さがだいたい分かります。
まとめ:費用は「物件検索の有無」と「誰が更新するか」で決まる
不動産ホームページの制作費用を、制作側の目線で整理しました。
金額の差を生んでいるのは、ほぼ「物件検索を入れるかどうか」の一点です。入れないなら20〜50万円、入れるなら外注で100万円〜。
そしてその「入れる」部分を、すでに作られた状態で買えるのが不動産特化テーマで、それだと価格は7万円台〜約20万円。桁が1つ下がります。
最後にひとつ。制作費の見積もりは、「作るもの」が決まってから取るものです。物件検索を入れるのか、業務ソフトと繋ぐのか、誰が更新するのか。この記事の判断表でそこを先に決めてから相談すれば、見積もりの読み方が変わりますし、そもそも外注が要らないと気づくかもしれません。
自作ルートを選ぶなら、まずはGRAVITYのデモサイトを見てみてください。「これがそのまま自社のサイトになる」と思って眺めると、198,000円という数字の見え方が変わると思います。
\ 外注100万円〜の中身を、買い切り198,000円で /
テーマの機能や他の候補との比較は、こちらで詳しく書いています。
→ 不動産ホームページのWordPressテーマ8選|TCD GRAVITYが本命の理由【2026年】