求人媒体に毎回お金を払うのがきつくて、自社で採用サイトを作りたいです。WordPressテーマは何を選べばいいですか?
調べてみたら、どのサイトも同じテーマばかり出てきます。求人サイト向けって、そんなに選択肢が少ないんでしょうか?
正直、少ないです。なので今回は候補を先に全部出します。そのあとで、どれを選ぶべきかの基準を説明しますね。
こんにちは、webディレクター兼個人ブロガー(兼プログラミング講師)のきつねコードです。
当サイトではWordPressやブログ運営のノウハウを発信しています。今回は「求人サイト・採用サイト向けのWordPressテーマ」の話です。
この分野、紹介されるWordPressテーマの顔ぶれがほぼ固定されています。日本語で使える求人特化テーマ自体が少ないからです。ネット上には古くなったテーマの情報や、テーマを買えばGoogleの求人枠に載ると読めてしまう書き方もあるので、そのあたりもまとめて整理しました。
2026年9月時点で実際に販売されているものだけを、公式ページで価格と機能を確認した上で並べます。先に候補を並べて、選び方は記事の後半にまとめました。
求人・採用サイト向けWordPressテーマ6選【2026年】
結論を先に言うと、一番のおすすめはTCDテーマの「ISSUE」です。ただし、それで行ける会社とそうでない会社があります。まず全体像から見てください。
価格はすべて税込、2026年9月に各公式ページで確認した数字です。
| テーマ | 価格(税込) | 向いている使い方 | 求人票を投稿で管理 |
|---|---|---|---|
| ISSUE(TCD) | 50,600円 | 採用サイトを独立して作る。会社の空気を見せたい | ×(固定ページ) |
| MASSIVE(TCD) | 28,380円 | 採用サイト単体。予算は抑えたい | ×(固定ページ) |
| SWELL | 17,600円 | 採用サイトの型を自分で作る。会社サイトと兼用したい | × |
| GENESIS(TCD) | 52,800円 | 会社サイトが主役。その中に採用ページ | × |
| Go To Recruit | 無料 | とにかく求人票を載せる。コストゼロ | ○ |
| Lightning | 無料 | 会社サイトごと無料で立ち上げる | × |
「求人票を投稿で管理」がほぼ×なのは、採用向けテーマの多くが「求人票を並べる箱」ではなく「会社を見せて、応募したいと思わせるサイト」として設計されているからです。これが問題になる会社とならない会社の見分け方は、記事の後半にまとめました。
ISSUE(TCD・50,600円)|採用サイトの本命

自社の採用サイトを独立して作るなら、僕はまずこれを見てほしいです。
公式のキャッチコピーが「こんな会社で働きたい。そう思わせる採用サイト。」なんですが、デモをみるとまさにそれです。デザインがかなり尖っていますよね。採用サイトだからこれができます。デモサイトはメタバース・XR系の会社という設定で、ネオンのようなグラデーションの中に「自分を裏切るな。考えるな、感じろ。」というコピーが乗っている。企業サイトのテンプレートとしては相当に振り切っています。
しかもこれ、キャプチャ画像で見ても半分も伝わらないんですよね。スクロールに合わせて文字がブラーから立ち上がってきたり、要素がふわっと入ってきたりする。動きで魅せるタイプでもあるので、必ず公式のデモサイトを実際にスクロールして見てください。静止画で判断すると損します。
構成も採用向けに振ってあります。
- スタッフ紹介:カスタム投稿。名前・職種・入社年で並ぶ社員カードから、一人ひとりのページへ
- インタビュー記事:社長対談も、同僚同士の座談会も組める
- スプリットページ:左右分割のレイアウト。写真がクロスフェードで切り替わる下層ページ
- サイドボタン:ファーストビューに最大2つ。「募集職種を見る」などを常時出しておける
- LP作成機能:企業説明会の特設ページや、新卒向け・中途向けの出し分けに使える
会社の想い、そこにいるメンバー、これから何をやろうとしているのか、どんな人を求めているのか。この4つを載せるための箱がひととおり用意されている、という感じです。求職者がいちばん知りたいのって結局そこですから、理にかなっています。
公式には「コーポレートサイトとしても採用サイトとしても使える」と書かれていますし、実際に兼用もできます。ただ僕の感覚では、これは採用サイトとして使ってこそのテーマです。普通の会社案内サイトに使うにはデザインが強すぎるというか、この演出は「うちで働くとこういう景色ですよ」を伝えるために効くもので、事業内容を淡々と伝える用途とは相性が違う。逆に言えば、採用サイトとして使えば他社と一発で差がつきます。
ベンチャーやIT系はもちろんですが、むしろ「かたい業界」で使うと効くと思っています。同業他社の採用サイトが全部同じ顔をしている業界ほど、これは目立ちます。
価格は46,000円(税込50,600円)。安くはないです。ただ、比べる相手は他のテーマではなく求人媒体の掲載料だと思ってください。媒体に1回出して、期間が終われば掲載ごと消える。あれを何回か繰り返す金額と、ずっと自社に残るサイトの構築費を並べると、見え方が変わるはずです。
注意点は上の表のとおりで、求人票を投稿として管理する機能はありません。募集要項は固定ページで作ります。募集条件が職種ごとにどんどん割れる会社だと、運用が重くなります。あと動きが多いぶん、写真の質がそのまま出ます。良い素材を用意することも、このテーマを選ぶ上で大切です。
アップデートは続いていて、2026年7月にもバージョンが上がっています。動作環境はWordPress 6.x以上・PHP7.4以上。
MASSIVE(TCD・28,380円)|予算を抑えて採用サイト単体で

同じくTCDの、こちらは採用サイト専用として作られたテーマです。会社ホームページとしてもいける、かっちりめの硬派なデザインです。
販売ページの入り口が「あなたの会社の魅力、求人広告で伝わってますか?」という問いかけで、思想がはっきりしています。求人媒体は枠のサイズも表現も制限があって、掲載が終われば募集の事実ごと消える。だったら自社で持とう、と。デモサイトも赤と黒で「枠に収まるな。突き抜けた規格外であれ。」という、熱量で押すタイプです。
機能面ではインタビューページがカスタム投稿で、ブログを書くように社員インタビューを増やせます。ヘッダーの自由度が高くて、2分割にも全画面にもできる。
ランディングページ作成機能もあります。ヘッダーとフッターの有無、コンテンツ幅、アニメーションを組み合わせて設定でき、公式デモでは幅730px(ヘッダー無・フッター無)、800px(ヘッダー有・フッター有)、1000px(ヘッダー無・フッター有)の3例が公開されています。企業説明会の特設ページや、新卒向けと中途向けの出し分けに使えます。この機能はISSUEにも入っていますので、どちらを選んでも対応できます。
ISSUEとの違いは、ひとことで言うと演出の方向です。ISSUEは「感性に訴える」寄りで動きが凝っている。MASSIVEは「勢いをぶつける」寄りで、写真とコピーの力で正面から押す。どちらが上ということではなく、会社の空気に合う方を選べばいいと思います。
そして価格が25,800円(税込28,380円)。ISSUEの半分強です。「採用サイトは作りたいけど、5万円は決裁が通らない」という状況なら、こちらが現実解になります。
注意点はISSUEと同じで、求人票のカスタム投稿はありません。募集要項は固定ページです。あと2020年10月リリースのテーマなので、ISSUEと並べるとデザインの世代差は少し感じます。とはいえ2026年3月にもアップデートが入っていて、放置されているテーマではありません。
SWELL(17,600円)|採用サイトの型を、自分で作りたいなら
ここまでの2本と次のGENESISは、どれも「採用サイトの型」を売っているテーマです。スタッフ紹介はこう見せる、インタビューはこう並べる、というレイアウトが最初から決まっている。だから速いし、失敗しにくい。
SWELLはその逆で、型を持っていません。汎用テーマなので、採用サイト用のレイアウトは自分で組み立てることになります。
ただ、組み立てる作業がとにかく速いんですよね。ブロックエディターとの相性がよくて、募集要項の表も、社員インタビューの記事も、応募への導線ボタンも、コードを書かずに形になります。「無料テーマでも自由に組めるのでは」と思われるかもしれませんが、差が出るのはここです。手が止まる回数が違います。国内シェアも大きいので、詰まったときに情報が見つかるのも地味に効きます。
17,600円で、100%GPLライセンスなので複数サイトに使い回せます。会社サイトと採用サイトを別々に立てても、テーマ代は1回きり。専用テーマだと2本分の費用がかかるところなので、ここは効きます。
向いているのは、こんな場合です。
- 会社サイトと採用サイトを両方作る予定があり、テーマ代を1本に抑えたい
- 既存のデザインガイドラインがあって、テーマの型に合わせたくない
- 採用サイトだけでなく、オウンドメディアも同じサイト内で育てていきたい
逆に、ゼロから見せ方を設計できる人には自由で、そうでない人にはしんどい。「何をどの順番で見せるか」から考えることになるので、そこに時間を使えるかどうかの見極めだと思います。迷うくらいなら、型を買ったほうが早いです。
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GENESIS(TCD・52,800円)|会社サイトが主役で、その中に採用ページ

「そもそも会社のホームページが古い。採用も含めて作り直したい」という状況なら、採用特化テーマではなく企業サイト向けテーマを選んだ方が話が早いです。
GENESISはTCDの企業サイト向けの定番で、事業案内がカスタム投稿になっているのが特徴。ひとつひとつの事業を独立したページで見せて、カテゴリーで分類できます。会社概要・事業案内・お知らせ・ブログという、企業サイトに必要なページが最初から設計済み。トップページのパターンも4種類から選べます。
採用については、募集職種が少なくて条件も共通なら固定ページで十分間に合います。事業内容がしっかり伝わる会社サイトがあって、その中に採用ページがある。中小企業だとこの形がいちばん費用対効果がいいことも多いです。
48,000円(税込52,800円)。ISSUEとほぼ同じ価格帯ですが、用途が違うので迷う場面は少ないと思います。採用を独立させたいならISSUE、会社サイトを整えるのが先ならGENESIS、という分け方で大丈夫です。
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企業サイト向けのテーマは他にも選択肢があるので、こちらもどうぞ。
→ 企業サイト向けWordPressテーマおすすめ|無料・有料を目的別に比較
無料テーマで求人サイトは作れるのか
「まずコストゼロで」という会社も多いと思うので、無料の選択肢も。結論から言うと、作れます。ただし条件つきです。
Go To Recruit(無料)|求人票を載せることに特化した国産テーマ
Web制作会社のBST株式会社が2022年9月から無料で配布している、採用サイト構築用のテーマです。
これの良いところは、求人情報が一覧ページと詳細ページのかたちで管理できること。有料の採用特化テーマですら固定ページ前提のものがある中で、ここは無料テーマの方が素直な作りになっています。お知らせ・社員インタビュー・採用情報がそれぞれカスタム投稿として用意されていて、項目を埋めていけば求人ページができるので、HTMLを触る場面がありません。
直近のバージョンアップは2025年9月。2026年に入ってからもWordPressの脆弱性について利用者向けの注意喚起を出していて、放置されているテーマではありません。国産なので日本語表示で崩れる心配も少ない。
ひとつだけ補足を。ダウンロードは配布ページから直接落とす形ではなく、利用規約に同意してメールアドレスを登録すると、ダウンロードURLがメールで届く方式です。すぐ試したい方は先にメールを受け取れる状態にしておいてください。
もちろん、TCDのような凝ったアニメーションや作り込まれたレイアウトはありません。「かっこよくはないが、必要な情報はちゃんと出せる」という位置づけです。求人票を出すことが最優先で、ブランディングは二の次、という段階ならこれで始めて何も問題ないと思います。
Lightning(無料)|会社サイトごと無料で立ち上げる
採用サイト単体ではなく、会社のホームページごと無料で作りたい場合はLightningです。
国産・WordPress公式ディレクトリ掲載・長期のアップデート実績。この3点で、無料テーマの中では最も安心感があります。2015年のリリースから続いていて、有効インストール数は10万を超えています(2026年7月時点)。
ページ作りは、別途プラグインを追加して使うパターンライブラリからコピー&ペーストで組んでいく形。有料パターンもありますが、無料の範囲でも会社概要・事業案内・採用情報という基本の構成はひととおり作れます。
採用ページは固定ページで作ることになります。求人が数件なら十分です。
「無料で作れる」と「採用に効く」は別の話
ここは補足して書いておきます。
無料テーマで採用サイトを作ること自体はできます。ただ、有料テーマと並べたときに「ちゃんとした会社に見えるか」で差が出るのは事実です。求職者は複数社を見比べていて、しかも人生がかかった比較をしている。そこで安く見えるのは、けっこう痛い。
とはいえ、テーマ代よりも重いのは写真と文章の準備です。ここが用意できない状態で5万円のテーマを買っても、結局デモサイトのようにはなりません。逆に、社員の写真とインタビューがしっかり揃っているなら、無料テーマでも時間と工数をかければちゃんと伝わるサイトになります。
順番としては、まず社内の写真を撮って、社員に話を聞く算段をつけてください。素材が集められるようならば有料テーマを使う方が、絶対に失敗しません。
購入前に確認したい3つのこと
候補は出そろいました。ここからは、その中の1つに絞り込むための判断基準です。
単純にサイトデザインだけの好みで選んで、あとから運用でつまずくパターンが多いので、購入ボタンを押す前にここだけ読んでおいてください。
① 採用の募集条件が「足し算」で済むか、「掛け算」になるか
採用向けのWordPressテーマを選ぶ際に、まず大切な分岐がこれです。
求人の「件数」かなとも思われがちなんですが、実際に大事なのは求人件数に加えて「募集条件の複雑性」の方です。
いきなり細かい話で恐縮ですが。(ざっくり読み飛ばしていただいても構いません)
先ほど紹介したISSUEやMASSIVEの公式デモで、募集要項のページをぜひ見てみてください。どちらも固定ページに表がひとつ置いてある形です。「職種・応募資格・勤務地・給与・福利厚生」などが縦に並んだ表、テーブルですね。
職種の欄をみてみると。MASSIVEのデモサイトでは「デザイナー、エンジニア」、ISSUEのデモサイトでは「メタバース・サーバー開発エンジニア、ブロックチェーンエンジニア」と並んでいます。つまり、複数の職種が、ひとつのセル(行)にまとめて入っています。
そして応募資格も勤務地も給与も、その下に1行ずつしかない。つまりこの表は、全職種で条件がだいたい同じというケースでデモが設計されています。
こうして考えると、少し見えてきます。
- 募集要件が足し算で済む:3職種あっても勤務地は本社ひとつ、条件もほぼ共通。それなら表の行が増えるだけなので、何も困りません。もし条件の異なる職種が増えたとしても、3つ4つぐらいならば「表」自体をコピペして足せば済む話。見やすいし、運用も困りません。
- 募集要件が掛け算になる:3職種 × 国内4拠点で12通り。しかも拠点ごとに時給や勤務時間が違うケースなど。募集要件が複雑に分岐する会社は1枚の表では物理的に整理しづらい。
業種で言うと、例えば。
- TCDが効く:本社1拠点のIT・メーカー・士業・デザイン会社など。求職者は「この会社どんなところ?」を見にきます
- TCDが向かないかも:介護・飲食・小売・物流・建設などの採用。多拠点で同じ職種を大量に募集し、条件が拠点ごとに異なる。求職者は「家の近くで条件の合う店舗」を探しにきます。また、もう1つの視点として募集要項がコロコロ変わるような会社も運用が大変。
応募導線も同じ思想で作られています。ISSUEはエントリーフォームは全職種で共通です(希望職種の選択項目はある)。MASSIVEは「新卒採用エントリー」「キャリア採用エントリー」の2本立てになっていて、そのぐらいなら簡単にできます。もし募集職種ごとに応募ボタンを置きたいという場合は、運用がしづらい(カスタマイズが必要になる)かなと思います。
公式の機能一覧を見ると、ISSUEのカスタム投稿は「スタッフ」「インタビュー」「お知らせ」、MASSIVEは「インタビュー」「お知らせ」。求人票専用の投稿タイプは、どちらにもありません。
ちなみに「カスタム投稿タイプ自体はプラグインで足せるのでは」と思った方、そのとおりです。作業は数分で終わります。ただし足したカスタム投稿には、テーマのデザインが当たりません。一覧も詳細もブログ用のテンプレートで表示されるので、ISSUEのあの作り込まれたデザインの中で、求人ページだけブログ記事の見た目になります。テンプレートを自作すれば解決しますが、それなら完成されたデザインを買った意味が薄れますよね。
先ほど紹介したGo To Recruitを「求人票を投稿で管理できる」側に入れているのは、カスタム投稿があるからではなく、専用の一覧・詳細テンプレートと入力項目がセットで付いてくるからです。ここが実際の差になります。
これは優劣ではなく思想の違いなんです。TCDテーマは「求人を並べる道具」ではなく「求職者を口説く道具」として作られている。条件がそろっている会社には、これ以上の選択肢はありません。
② コーポレートサイトと採用サイトを分けるか、1つにまとめるか
2つめの判断基準として、採用サイトを別で立てるか、会社サイトの中に採用ページを置くか。
採用に本腰を入れるなら、独立させた方が自由に作れます。実際に文章や構成を考えていくとわかりますが、会社紹介のトーンと採用のトーンって、けっこう違いますから。ロゴも配色も揃えつつ、採用サイトの方だけ思い切ったビジュアルにする、といったことがやりやすい。
広く外部向けの会社ホームページにおいて、遊び心を前面に入れるというようなことはやりにくいです。
一方、会社サイトそのものがまだ無い、あるいは古いという状態なら、まず会社サイトを整えて、その中に採用ページを置く方が現実的です。予算も分散しません。この場合はGENESISが候補になります。
③ 公開したあと、誰が採用サイトを更新するか
ここも大事です。ディレクターとして何度も見てきたので、これは強めに言います。更新が完全に止まった採用サイトは、マイナスになります。
求職者はその会社が今どうなっているかを見にきています。お知らせが2年前で止まっていたら、それだけで印象が決まる。だから「作れるか」より「社内の誰が、月に何回さわれるか」で選んだ方がいい。
非エンジニアの総務担当が更新する、といったケースも多いと思います。その場合は管理画面の作りが最優先。この点だとWordPressのTCDテーマはよくできていて、色も画像もキャッチコピーも中の構成も管理画面から変えられます。HTMLを触る場面がほぼ無い。
制作会社に毎回頼む前提なら、正直どのWordPressテーマでも大丈夫です。社内で回す前提なら、管理画面の使いやすさが半分くらいを占めると思っています。TCDがおすすめです。
求人検索エンジンへの無料掲載は、2025年に前提が変わりました
自社で採用サイトを作る動機のひとつが「媒体にお金を払わずに求職者へ届く」ことだと思います。
補足にはなりますが、ここも、2025年に大きな変化があったので触れておきます。
Indeedのクローリングは終了しました
以前は、自社サイトに求人ページを置いておけばIndeedのクローラーが拾ってくれて、無料でIndeedに掲載される仕組みがありました。中小企業にとって、自社採用サイトを作る実利の1つだったと思います。
この仕組みは、2025年6月末で終了しています。
2025年7月以降、Indeedに掲載する方法は「直接投稿」と「ATS(採用管理システム)経由の求人情報連携」の2つになりました。つまりどのWordPressテーマを使っても、自社サイトから自動的にIndeedに載る経路はもう存在しません。テーマ選びで解決できる問題ではなくなった、ということです。
念のため補足すると、Indeedへの無料掲載そのものが無くなったわけではありません。直接投稿やATS連携なら、今でも無料の掲載枠があります。変わったのは「自社サイトを作っておけば勝手に載る」という部分だけです。
「自社サイトに置けば拾われる」経路と、その共通条件
自社サイトに置いておくだけで拾われる経路として残っているのは、Googleしごと検索(Google for Jobs)、求人ボックス、スタンバイです。
Googleしごと検索の掲載条件は公式ドキュメントで決められていて、ざっくり3つです。
- 求人ごとに個別のページがあること(一覧ページではなく、1求人1ページ)
- そのページにJobPostingの構造化データが入っていること
- Googleにインデックスされていること
構造化データというのは、職種名や勤務地や給与を、検索エンジンが読める形式で書いたものです。必須なのは職種名・仕事内容・掲載日・掲載企業・勤務地の5項目。給与や雇用形態は必須ではないものの、入れておいた方がいいです。
大事なのは、構造化データに書いた内容はページ上にも表示されている必要があるという点。ページに出ていない情報を構造化データにだけ入れるのはガイドライン違反になります。
ちなみに、終了したIndeedのクローリングも、基準は1ページにつき1職種×1勤務地、固有のURLでした。求人ボックスとスタンバイも自社サイトのクローリングに対応しています(要件の細部は各社のヘルプでご確認ください)。「求人票は1件ずつ独立したページに置く」というのは、サービスを問わない共通の前提だと考えておいて間違いありません。
→ 求人情報(JobPosting)の構造化データ|Google検索セントラル
今回紹介したテーマは、この構造を作れない
で、ここが本題です。ISSUE・MASSIVE・GENESIS・SWELL・Lightningのいずれも、公式の機能一覧にJobPosting構造化データの出力は書かれていません。パンくずリストやOGPの構造化データには対応していますが、求人情報用のものは別物です。
そしてGo To Recruitも同じです。求人を投稿として管理できる点は優秀なんですが、構造化データを出力するとは謳っていません。「求人票を投稿で回せる」と「求人検索エンジンに載る」は別の話なので、ここは切り分けて考えてください。
しかもISSUEとMASSIVEの場合、話はもう一段ややこしい。前の章で見たとおり、募集要項は複数の職種を1枚に並べたページです。これはGoogleの言う「求人リストのページ」にあたり、公式ドキュメントはリストページに構造化データを追加しないよう明記しています。つまりこのページにJSON-LDを手書きで足すのは、そもそもガイドライン違反。まず職種ごとにページを分けるところから始める必要があります。
テーマで解くなら、選択肢はほぼ1つ
「求人票を投稿で管理できて、構造化データも自動で出る」という条件でテーマを探すと、国産では求人・採用サイト向け WordPress テーマ by Communitycom(29,700円・税込)がほぼ唯一の答えになります。求人情報を投稿として登録すると、入力内容に沿ってJSON-LDを出力してくれる作りです(公式ページに、テーマ付属の「Communitycom Job Posting」アドオンの導入が必要との注記があります)。
ただ、条件を飲めるかどうかは分かれると思います。本体の最新メジャーバージョンは2023年6月のv2.0で、それ以降の大きな更新の案内が見当たりません。さらにこのショップのテーマはアップデートが有償です。TCDやSWELLの無償アップデートに慣れていると、ここは引っかかるところです。
現実解は「サイトはWordPress、求人票は外に出す」
ここまで読んで「じゃあTCDは諦めるしかないのか」と思われたかもしれませんが、そうではありません。層を分けてしまえば解決します。
実は、求人票の掲載と検索エンジン連携だけを担う無料ツールがいくつもあります。
- Airワーク 採用管理(リクルート):無料で採用ホームページを作成でき、Indeedの無料枠に掲載されます。広げたいときはIndeed PLUS(クリック課金)
- engage(エン・ジャパン):無料で採用ページ作成。2026年6月にIndeed連携を終了し、現在はGoogleしごと検索・求人ボックス・スタンバイなどへの無料連携が中心です
- 採用係長(ネットオン):求人ボックス・スタンバイ・Googleしごと検索など複数の求人検索エンジンに連携できます
いずれも構造化データを自分で書く必要がありません。29,700円のテーマを買ってJSON-LDの面倒を見るより、無料ツールに求人票を置くほうが速くて確実です。
なので、求人検索エンジンからの流入を本気で取りにいくなら、こう組むのが今の現実解だと思います。
- 採用サイト本体(会社を見せる部分)は WordPress + ISSUE / MASSIVE
- 求人票は無料の採用管理ツールに置き、検索エンジン連携はそちらに任せる
- 採用サイトの「募集要項」から求人票へリンクし、求人票の応募導線から採用サイトへ戻す
こうするとTCDの強み(会社を見せる構成が最初から揃っている)を活かしたまま、求人検索エンジンの無料掲載も取れます。テーマ側の弱点を、テーマを変えずに回避できるわけですね。
ひとつのサイトで全部やろうとすると詰みます。「口説く場所」と「見つけてもらう場所」を分けてしまうのが、いちばんラクです。
求人サイトを作ったのに応募が来ない、3つの原因
制作側にいると、公開後に相談される内容がだいたい決まっています。テーマを買い替える前に、まずここを見てほしいです。全部お金をかけずに直せます。
① 募集が終わった求人が残ったまま
いちばん多いです。そして、いちばん損をしています。
求職者は「この会社、今も動いているのか」を見ています。半年前に締め切った募集がトップに出ていたら、それだけで候補から外れる。お知らせの最終更新が2年前、というのも同じです。
しかも、前章の求人検索エンジンに載せている場合はもっと切実です。期限切れの求人を残したままにすると、Googleの手動による対策の対象になりえます。見た目の印象にとどまらない話なんですね。
募集が終わったらページを下げる、あるいは「この募集は終了しました。次回は◯月ごろの予定です」と書き換える。後者の方が親切ですし、次の募集への布石にもなります。更新のタイミングを月1で決めておくだけで、だいぶ違います。
② 写真がフリー素材ばかりで、社内が見えない
これもよく見ます。どこかのオフィスで外国の人が握手している、あの写真。
採用サイトで求職者が探しているのは「自分がここで働いている姿を想像できるか」です。フリー素材からは何も想像できません。多少画質が落ちても、フリー画像を使うぐらいなら実際の職場をスマホで撮った写真の方が効きます。休憩スペース、作業しているところ、朝礼、なんでもいい。
ISSUEやMASSIVEのようなテーマは、写真が主役の設計です。ここに素材がないと、せっかくの器が空のまま公開されることになります。テーマを買うと同時に、写真を撮る算段を決めてください。
③ 応募フォームが長すぎる
サイトはよくできているのに、応募フォームが20項目ある。しかもスマホだと入力しづらい。これで離脱しているケースもあります。
求職者はスマホで、通勤中や休憩時間に見ています。その場で職務経歴を打ち込めるはずがない。最初の接点は「名前・連絡先・気になっている職種」くらいで十分です。詳しい話は面談で聞けばいい。
あと「まずは話を聞いてみたい」という受け皿を作っておくのもおすすめです。応募のハードルが高い人を拾えます。カジュアル面談という言葉が浸透してきたので、抵抗も少なくなりました。
求人サイトの立ち上げ手順
テーマが決まったら、あとはWordPressを動かす場所を用意するだけです。順番はこう。
- レンタルサーバーを契約する(ドメイン取得もここで一緒に)
- WordPressをインストールする
- テーマをアップロードして有効化する
- 写真と文章を流し込む
サーバーは私はエックスサーバーを使っています。8年以上使っていて、法人サイトであっても不安がないという理由です。申し込み時に「WordPressクイックスタート」を選べば、ドメイン取得からWordPressの設置まで1時間もかかりません。
採用サイトを会社サイトとは別のドメインで立てる場合も、サブドメインを使えば追加費用なしでいけます。
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※「WordPressクイックスタートを利用」に✅を入れて進めてください
※個人も法人も『Xserver レンタルサーバー』を運用できます。
よくある質問
採用サイトは外注と自作、どちらがいいですか?
制作会社に頼むと、要件次第で数十万円から、こだわると100万円を超えることもあると聞きます。自作ならサーバー代とテーマ代だけなので、桁がひとつ変わります。ただ、外注のいちばんの価値は制作そのものより「写真・原稿・構成を一緒に作ってくれること」です。素材づくりを自社でやりきれる体制があるなら自作でいいと思いますし、そこが不安なら外注する価値があります。折衷案として、テーマは自分で買って、写真撮影とライティングだけプロに頼むという形もあります。
既存の会社サイトに採用ページを足すだけでもいいですか?
募集が年に数回で、職種も少ないなら、それで十分です。むしろ独立させると更新する場所が増えて、両方止まるリスクがあります。採用サイトを別で立てる価値が出てくるのは、通年で採用している、複数職種を募集している、新卒と中途で伝えたいことが違う、といったケースですね。既存サイトがWordPressなら、まずは採用ページを1枚しっかり作って、応募が増えてきたら独立を考える、という順番がおすすめです。
他社の求人を載せて手数料をもらうサイトは作れますか?
技術的には作れます。ただ、事業のかたちによっては法律の話が出てきます。
まず、求職者と企業をつないで成立時に手数料を受け取る紹介型は、有料職業紹介事業の許可が必要になる場合があります。
見落とされがちなのが、掲載するだけの広告型にも手続きがある点です。2022年10月施行の改正職業安定法で、求職者に関する情報を収集して情報提供に使う事業者は「特定募集情報等提供事業者」にあたり、事業開始前に厚生労働大臣への届出が必要とされています。無届で事業を行った場合の罰則も定められています。応募フォームを置いて他社の求人を扱うなら、ここに該当する可能性があります。
逆に、自社の採用情報を自社サイトに載せるだけなら、この話は関係ありません。他社の求人情報を扱う段階で初めて対象になるものです。この記事の主題である自社採用サイトについては、心配しなくて大丈夫です。
いずれにせよ、自分の事業が該当するかどうかは自己判断せず、管轄の労働局や社会保険労務士に確認してください。サイトを作り始める前に確認した方が、あとで作り直さずに済みます。
求人媒体があるのに、自社サイトを作る意味はありますか?
どちらか一方ではなく、両方使うのが現実的だと思います。媒体は瞬発力があって、出せばすぐ人の目に触れます。一方で掲載が終われば消えるし、フォーマットの制約で会社の空気までは伝えられません。自社サイトは立ち上がりが遅いかわりに、資産として残ります。
実際によくあるのは、媒体で見つけた求職者が会社名で検索して、自社の採用サイトを見て応募を決める、という流れです。媒体の成果を上げるためにも自社サイトが効く、という関係ですね。Indeedのクローリング終了で「自社サイトに置けば勝手に配信される」という旨みは減りましたが、この役割は何も変わっていません。
制作会社です。クライアントのサイト制作にテーマを使えますか?
TCDの場合、制作代行で使うときは通常のライセンスとは別に「特別ライセンス」を購入する必要があります。2026年9月時点で30,000円(税込33,000円)、有効期間は証書発行から3年、契約はテーマごとです。期間内であれば複数のクライアント案件に使えます。
注意したいのが、制作代行をテーマの販売価格以下の金額で請け負うことはできないという条件。テーマの実質的な無料配布を防ぐためのものですね。ここを見落として見積もりを出すと、あとで困ります。
他社のテーマもライセンス条件はそれぞれ違うので、商用制作で使う前に規約を読むのが安全です。条件は変わることがあるため、受注前に公式の案内を必ず確認してください。
まとめ:迷ったらISSUEを見てから決める
求人・採用サイト向けのWordPressテーマを、用途と条件の複雑さで並べました。
今回いちばん伝えたかったのは、テーマ選びは「求人が何件あるか」ではなく「募集条件が足し算で済むか、掛け算になるか」で決まるということです。条件が共通なら、ISSUEやMASSIVEほど強い選択肢はありません。掛け算になるなら、テーマだけで解こうとしないほうがいい。
そして求人検索エンジンからの流入を取りにいくなら、採用サイトと求人票を分けてしまう。「口説く場所」と「見つけてもらう場所」を、無理にひとつにしないことです。
そのうえで付け加えると、採用サイトは「見た目が地味だから応募が来ない」ということが本当にあります。会社案内サイトなら多少おとなしくても信頼感で成立しますが、採用は求職者の気持ちを動かす必要がある。そこにお金をかける価値はあると思っています。
だから、迷っているならまずISSUEのデモサイトを見てください。予算が合わなければMASSIVEに落とせばいいし、方向性が違うと感じたらGENESISやSWELLに切り替えればいい。基準になるものを一度見てから決めた方が、判断が早くなります。
テーマ選び全般で迷っている方は、こちらもあわせてどうぞ。